葬式 しない 墓 も いらない

「葬式しない 墓 も いらない」・・・非情とスマートをはき違えている現代病の正体

 

近年では、「自分が死んだ時、葬式もしないし、墓もいらない」という方が増えています。

 

現代ではお墓というものがないがしろになっていますが、そういった方が増えている背景にはどういったことがあるのでしょうか?
この記事では、近年で増加しているこの考えの背景について考察するとともに、お墓も葬式もいらない場合の弔い方を解説していきます。

 

なぜ葬式もお墓もいらないという人が増えているのか

今、死んだ後の葬式もお墓もいらないという方が増えています。
そう考える理由はいくつかあるでしょうが、ひとつは「お金がかかるから」でしょう。

 

葬式から納骨までには数十万から数百万という高額なお金がかかりますし、近年の物価上昇や上がらない給料の煽りを受けて、「なるべくお金を使いたくない」という流れになっています。そのなかで、「どうせ死んだ後の自分に、お金を使って欲しくない」、という考えになるのだと思います。

 

また、コロナ過の影響もあり、人と人との繋がりが希薄になった事も一因ではないでしょうか。人と繋がらない社会では、「自分が死んだ所で、他人に気にして欲しくない」と考えてしまう人も多いのかもしれません。

 

また、こういった考えは宗教学者の島田祐巴さんが提唱した「0葬」というものです。
遺された人に迷惑をかけなくて済むように、お葬式も遺骨もお墓もいらない、という考えは、確かに潔くスマートに映るかもしれません。

 

ただ、本人がそういった選択を希望したとしても、遺された家族はどう感じるでしょうか。
その場では、「本人の希望だから」と納得したとしても、後から「やっぱりお墓は立てるべきだった」と悔やむかもしれません。

 

故人と心穏やかに向き合える、お墓という場所があって欲しかったと、後悔するかもしれません。

 

もちろん、これは正解もなく、誰にも分からない問題です。
ただひとつ確かなことは、「遺骨は墓地以外に埋葬してはならない」と法律で決まっていることです。

 

例え自宅の庭であっても、遺骨を埋めるのは違法行為にあたります(ただし、家に遺骨を安置する手元供養は除く)。

 

自分がどんなお墓を望むのか、今のうちからじっくりと考えてみるのも良いかもしれません。

 

お墓の在り方に正解はない

お墓がどうあるべきかに正解も不正解もない!
ただし、法律上で遺骨は墓地以外に埋めてはならないと定められている!

 

遺骨を海に播く方法の基本

まず、そもそも「散骨」という行為の意味を覚えておきましょう。

 

散骨とは「遺体を火葬し、遺骨になったものを粉々に砕いて、その粉末になった遺骨を海や山などの自然の中に撒く」埋葬方法のことです。

 

一口に散骨と言っても、播く場所によって注意点が異なります。

 

ここでは、海に遺骨を播く「海洋散骨」に注目して解説していきます。

 

海洋散骨とは

海洋散骨とは、「遺骨を海に撒く埋葬方法」です。

 

とはいえ、海岸に行って、適当に海に遺骨を撒くということは法律違反です。

 

なぜなら、岸漁業をしている漁師、あるいは沿岸で養殖などをしている業者に迷惑になるし、生態系に影響が出る懸念もあります。

 

したがって海洋散骨のは船で沖に出て、迷惑にならない海域で散骨をするのが鉄則です。

 

しかし自分で船を操って沖まで行けるという人は少ないでしょうし、船を自力でチャーターしても、どこの海域なら散骨が可能かは判断が難しいと思います。
だからこそ、原則的には海洋散骨を専門にしている業者に委託することが一般的です。

 

海洋散骨の専門業者は船を確保していますし、どこに遺骨を撒けば良いのか把握していますから、安心して任せることができるわけです。

 

遺骨を海に播くことは違法性がある?/h3>
散骨に限らず、遺骨を自然会に散布し、自然に還す埋葬方法全般を「自然葬」と言います。
世界規模で考えると、割と普通に行われているこの自然葬ですが、日本では原則禁止されています。
これは、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)という法律で、市区町村の許可した墓地以外に遺骨は埋葬できないことになっているからです。
ですから、仮に自分の土地であっても、行政の許可が下りない限り、その土地に自分で埋葬することはできません。
あまり知られていませんが、ここは注意が必要です。
ただし、例外として、散骨は黙認されているというのが現状です。
これは、散骨をする地域や実施については、法律で定められていないからです。
確かに、「墓地埋葬法」が昭和23年に施行されました。
しかしながら、この段階では散骨が一般的ではなかったため、埋葬と火葬についての定めはあっても、散骨については法的な拘束力がないのです。
そのため法的に違法と言い切ることができず、グレーゾーンになっているのが現状なのです。

自分で遺骨を海に播くと死体遺棄に問われる可能性がある

とはいえ、散骨を自分で行う際、死体遺棄に問われる可能性があります。

 

というのも、散骨は遺骨を目視では何かわからないくらい、細かく砕く必要があります。
ここで、遺骨だとわかる状態で散骨すると死体遺棄罪に該当する可能性があるのです。

 

ちなみに、遺骨を砕く際、どの程度砕かなければならないかというと、具体的に法律では定められていません。
しかし、散骨業者の自主規制では直径2mm以下になっていますので、2mm以下をめどに粉末状にするのが無難でしょう。

 

この粉砕については、粉砕機をレンタルまたは購入して行う必要がありますので、かなりの資金が必要になります。

 

散骨可能な海域か確認する必要も

実際に海洋散骨する場合、散骨可能な海域かどうかを確認する必要もあります。
これは、墓埋法では定められていませんが、国の指導として以下の場所での散骨は避けるようにと定められています。

 

  • 水源地付近や生活用水として利用される河川、湖、沼など
  • 漁場、養殖場、防波堤など
  • 公園や住宅地
  • 観光地や観光ルート

 

例えば、水源地に近い海辺や、漁場や養殖場の近くでは散骨できません。
ですので、海洋散骨を行う際は、細心の注意が必要になるわけです。

 

また、樹木葬に関しては、一般の山や林に勝手に散骨することはできません。
散骨する際は、その山の所有者の許可が必ず必要になるのです。

 

また、山に散骨することで、農作物の成長に影響が出る、散骨を行った土地ということで、価格が落ちる可能性がある、このようなリスクが考えられます。
だからこそ、山に散骨するというのは、現実的には難しいので、山への散骨と似ている「樹木葬」を選ぶ方が大半なのです。